ちゃんとやれ!

副業フリーランサーの飲み屋話

「できた」と「できる」の違いに心を打ちのめされる日

ライター、デザイナー、写真家。

僕の中では、大きく一括りな業種。

 

顧客の要望や、自分自身が内に持っているものを、何かを通じてカタチにする人たち。

それがテキストなのか、グラフィックなのか、写真なのか。

 

この中で、一番簡単なのは写真家だ。今の時代、スマホにだってカメラが付いている。それで1枚撮影すれば、写真家になれる。

その次に簡単なのはライター。日本語の数は限られている。51の音を操るだけだから。

デザイナーは、いろいろありすぎて。というか「デザイナー」で括るなよ。ってデザイナーさんに怒られそう。

ポスターや名刺をデザインするグラフィックデザイナー、ホームページのデザインを考えるウェブデザイナー、家具や製品のカタチを考えるプロダクトデザイナー、展示空間をデザインする空間デザイナー。

とにかく幅広いし、カタチがないものだから。非常に難しい。

 

だからといって、簡単な順に仕事になるか、得られるものがあるか。と言われればそれは難しい。

 

それは「できた」と「できる」の違いがあるからだ。

確かにスマホで撮影した1枚がとびきり心を動かす作品になることだってある。

コンテストで優勝することだってある。

が、それはたまたま「できた」だけかもしれない。500枚撮って、1,000枚撮って、たまたま1枚がよかったのかもしれない。

 

偶然の1枚は、技術として認められるのだろうか。

 

写真を撮ることが「できる」人と、たまたまいい写真が「できた」人の違いは、ものすごく大きい。

それは、ライターやデザイナーとは比にならないくらいに。

 

撮影する空間を作り出す必要があり、あれこれ準備が必要で。と考えると、写真家は難しい。頭の中にあるもの、クライアントからの依頼を写真にするのは本当に難しい。

こんな感じかな??で撮った1枚では、到底太刀打ちできない。

 

日が当たる時間、温度、湿度、被写体のコンディション。それら全てを整えて、撮る写真は1秒にも満たない。

そこにどれだけのパワーを注ぐのか。

なんて考えたら、写真家は大変だ。写真を撮ることが「できる」人は本当にスゴい。

 

そう思うと、ライターなんていうのは簡単なものかもしれない。

自分の頭の中さえ整えていれば、クリエイティブに活動できるから。自分の思いをカタチにしやすいものなのだろう。

 

デザイナーは、その手法が広がる。ライターのようにテキストだけに囚われず、自分の好きなやり方で表現ができるから。

 

頭の中をカタチにする難しさ。

 

写真をたくさん撮ってきたけれど、想像通りに仕上がった写真は何枚あっただろう。

あとから見返して「これいいじゃん」っていうものばっかりだ。

 

それは、カメラが僕に撮らせてくれているだけ。早くハンドルを奪って、僕が撮った写真だ!と言えるようになりたいもの。

 

 

アサヒカメラ 2019年 06 月号 [雑誌]

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