晴れた日のコインランドリーは空いている。
普通の人は家で洗濯をして、家で洗濯物を干すからだ。
雨の日ともなれば、乾燥するためだけにコインランドリーへ行くことだってある。
今の家から、最寄りのコインランドリーまでは徒歩3分。残念ながら24時間営業ではない。
洗濯機は持っているので、家で洗濯をすればコインランドリーでは乾燥させるだけだ。
ベランダで干してもいいのだけど、目の前が大通りなのであまりいい気分ではない。
家で洗濯をしてから乾燥だけコインランドリーを使うとしたら。
洗濯機を回し終えたことを忘れてしまう。2~3時間、入れっぱなしになっていることもあった。
また、いくら脱水したからといって、濡れている洗濯物は重い。
乾燥後に持って帰る感触を知っていれば、行きの濡れた洗濯物は修行でしかない。
というわけで、コインランドリーで洗濯することにした。
洗濯に35分、乾燥に40分。ノンストップの洗濯乾燥機もあるが、別々のマシンを選ぶ。
4日分の洗濯物を突っ込んで、プリペイドカードをかざすと洗濯が始まる。
歩いて3分なので一度帰ってもいいのだけど、テーブルとベンチがあるおかげで、ゆっくり過ごすことができる。
本を読んだり、PCを開いたり。適度に涼しく、誰もいない店内は居心地がよい。
また、35分、40分という時間もちょうどいい。
集中力して何かを続けるにはちょうどいい時間だ。
そう思うようになってから、積極的にコインランドリーを使うようになった。
部屋干しすると仕上がりがイマイチなタオルも、乾燥機に入れるとふわっふわに仕上がる。
2時間弱の時間を、洗濯をしながら自分の時間として使う。
カフェみたいに騒がしくなく、晴れている日は誰もいない。
隠れ家的なスポットを見つけた気分だ。
夜には閉店するというのもいい。時間までに洗濯を終わらせないといけないし、その時間を加味して家を出ないといけない。
便利さだけが全てだろうか。
少し不便なところに、面白みがあるんだと思っている。
制限があるから、その中でポテンシャルを発揮できるように試行錯誤するのだろう。
不便さと不便さがちょうどいい具合に重なると、そこに新たな便利さが生まれるような気がしている。
少しだけ人と違った行動を、そこから見えてくる新しいものを。
「今日はいい天気だな」なんて思ったら、コインランドリーに行こうと決めた。
ふわふわのタオルと、2コマ分の作業時間が手に入るから。