写真には2種類ある。
未来のためにある写真と、今を残すためにある写真だ。
僕はストックフォトサービスで、写真を販売している。
例えば東京駅前の写真や、新幹線の写真。観光地の写真やスカイツリーからの眺望写真。ホームページの素材や、パンフレットの素材につかってもらえるような写真。
それらは未来を意識した写真だ。未来に期待して撮る写真は難しい。作品を作ろう、僕の作品を表現しよう。と思ってしまう。
何かを作っていくような、アーティストっぽささえ感じる。
もちろん未来を意識した写真もいいけれど、今の気持ちを残しておきたい。そんな写真を撮っておきたい。
つらかった日の1枚、飛び上がるほどの1枚
誰かに求められるものを撮ったら、それは面白くなくなる。気持ちの純度が下がってしまうような気がする。
リアルな時間を切り取るのか、素敵な空間を切り取るのか。
それが、今の気持ちを残した写真か、未来を意識して撮った写真か、の違いだ。
今の気持ちを残した写真は、技術がいらない、センスは必要ない、と言っているわけではなく。がむしゃらにシャッターを切った1枚に、凝縮されている気がしている。
それを言葉にするのは難しくて、撮りたくて撮ったんだ!としか表現できないのだけれど。その「撮りたくて撮った」「なんか分からないけれど撮ってしまった」ということが、自分に素直で、そのときの自分や、そのとき見ていた光景を綺麗に残してくれている。
未来を意識した写真は大人だ。考えもまとまっていて、やりたいことが見えて、次への一歩が見えるエネルギーを感じる。
今の気持ちを写した写真は子供。言葉にするのは難しくて、自分の気持ちに素直、その瞬間にいいと思ったもの。
どこか打算的になってしまう。評価を求めてしまう。認められたい。なんて思ってしまう。そんな未来を意識するよりも。
まずは、今を大切に、今この瞬間の自分の気持ちを大切に。この場所に立っていたこと、この場所に存在していたこと。今の気持ちを綺麗に残しておこうと。
気持ちを改めて写真を撮っていこうかな、なんて思うことが増えた。
誰かに見せるのもいいし、ストックフォトで売るのもいい。
プロフィール用の写真、ポスター用の写真。
目的がある写真。
好きなことを好き、楽しかったことを楽しい、と言えるような、素直な写真。目的がなくてもコストをかけてとる1枚。
そんな写真にいつ巡り合えるだろうか。デジタルの時代になったからこそ。
今を大切に残しておきたいと思う。
今日も1枚、また1枚と写真を撮っていこう。