ちゃんとやれ!

副業フリーランサーの飲み屋話

歩こう、散歩しよう、空気を感じよう、頭を動かそう

一人旅行するときに意識していること。

それは「歩く」ということ。

 

2kmほど、30分程度なら「片道は歩く」という選択肢を用意しておくこと。

 

バスがあれば、タクシーがあれば、時間も労力も節約できる。それと引き換えに興味は通り過ぎていってしまう。

見たことのない地名がついた電柱の広告、民家の壁に「スナック」と書いてあったり、バブルの重厚感がある老人ホームが建っていたり。

 

別にスルーしても困らないが、発見すると面白いものが、そこにはある。

それだけではなく、小さな変化、気付きを得ることができる。

 

人生はフラットになってしまった。

エアコンが普及したおかげで、室内の寒暖差は減った。

地面が整備されたおかげで、石ころで蹴躓くことも減った。

野菜や果物はカタチのよいものが作られるようになり、工業製品は精度があがって同じモノをたくさん作ることができるようになった。

 

技術の進歩のおかげで、日常で得られていた刺激が無くなってしまった。

だからこそ、機会のあるときに歩こうじゃないか。

 

バスやタクシーに乗っているとき以上の刺激を得ることができる。

当たり前のことを、当たり前に実感することが、ちょっぴり嬉しかったりする。

 

日なたは温かくて日陰は寒い。

落ちている木の枝を踏んだことを、足の裏が察知する。

少し早く歩けば呼吸が浅くなり、心拍数があがる。

蕎麦屋の前を通れば出汁の香りがして、天ぷら屋の前を通ればごま油の匂いがする。

段差解消の鉄板は、横からみると足を引っかけそうになる。

異様に短いガードレールが設置されている。

別になんてことないことが、心地よい刺激になって返ってくる。

 

毎日毎日、わざわざ歩くことはない。時間を削減することも重要だ。

その中で「歩く」という選択をする。

味覚は感じられないかもしれないが、五感を使って一歩ずつ足を踏み出していく。

疲れた、という感覚でさえ、生きているんだな、と実感できるようになる。

 

誰もいない自分だけのペース。自分のリズムを歩調が作ってくれる。

早すぎず、遅すぎず、自分のオリジナルテンポ。

 

そのテンポに合わせて、思考を生み出していく。

雑踏の中、小声で何か言ったところで誰も気付かない。マスクをしていれば、なおさら。

頭の中でごちゃごちゃしていた気持ちを、声に出して整えてみる。スピーチの練習に散歩を使ってみる。「歩く」ということが無意識にできるから、思考にリソースを割くことができる。

 

五感をフルに使って取り入れながら。頭の中に貯まっている考えを外に出してみる。

バスやタクシーじゃ得られない「テンポ」がその場にあるから。自分のリズムを感じることができるのだ。

 

一人で旅行に行ったとき。徒歩30分の箇所があるなら片道は歩いてみる。自分を整えるため、自分の気持ちをふるいにかけるため。

なんとなくボーッとしながら、頭の中はフル回転している、そんなちょうどいいテンポとちょうど良い散歩が、そろそろ見つかるころだ。

 

積極的に歩いて、散歩して、空気を感じて、そして頭を動かして。