初めて聴いたのはTikTokだったと記憶している。
瑛人の「香水」が話題になっている。
その中では、「ドルチェ&ガッバーナのその香水の~」と歌われている。
このワンフレーズに大切なことが詰め込まれているんだなあ、なんて感じた。
エモい文章を求めたとき、そのコツのひとつに「固有名詞を入れる」ことがある。
そして、固有名詞は匂い立つという。
まさに「香水」には固有名詞が。そこから想像できる世界が具体的に広がる。
実際にドルチェ&ガッバーナの香水を買ったことがある人も、香水を買ったことはないけどもショップの前を通ったことがある人、雑誌で見たことがある人。
いろんな人の中にある「ドルチェ&ガッバーナ」が匂い立つのだ。
省略せずに「ドルチェ&ガッバーナ」としたことが、よりインパクトを与えたのだろう。
プレバト!!という番組で、芸能人の俳句の才能を査定するコーナーがある。
講師の夏井いつき先生がよく言っている言葉は「ちゃんと書きなさい」ということ。
省略したり、曖昧にしたりせずに、ちゃんと書きなさいと言う。
俳句であれば17文字で表現しなければいけないから、情報の取捨選択や省略などを考えなければいけない。が、それは歌詞でも同じなのではないだろうか。
「ドルチェ&ガッバーナ」と11音をここに充てることで、その後に続く「香水」にきっちり色を塗ってくれる。
曖昧に、中途半端に省略してしまうと、際立つものが無くなってしまう。
仮にプラダやシャネルの香水だったとしたら、どれくらいのインパクトだっただろうか。ドルガバだったら、どんな印象だろうか。
固有名詞を、きっちり入れることで、具体的過ぎる映像が浮かび、それぞれの人の映像に変わっていく。
この具体的へのバランスが、とても心地良くて。注目の一曲になったのだろう。