モノゴトの価値を生み出す人は誰なのか。
目の前のそれに集中して、どうやってそこから価値を創造するのか、じっくり考える必要がある。
大手広告代理店「電通」には「鬼十則」と呼ばれる行動規範がある。十則と言うからには10個の約束事があるのだが、その1番目に書いてあるのは次の言葉だ。
「仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。」
これが全てを物語っている。仕事は自ら創らねばならないのだ。つまり、価値は自ら創るべきである。ということだ。
言われた作業そのものだけを見て、無価値かどうか判断するのはあまりにもナンセンス。「こんな価値のない仕事~」と言う人が多い。
価値がないかどうか、多くの場合は価値を見出せないスキル不足だということに気付かない。
その先の意味や目的をキャッチできないのであれば、価値を生み出すことができない。アンテナをしっかり張りながらも、目の前のそれに集中する必要があるのだ。
もちろん考えるレイヤーにも差がある。仕事だとしたら、担当者のレイヤーでモノゴトを見るのか、中間管理職のレイヤー、経営者のレイヤーでモノゴトを見るのか。
どの視点で見るか、によって、思いや深さが変わってくることだってある。
今やっているその作業、どこに価値を見出せるのか。もっと言えば、どこに価値をプラスできるのか。
プラスする価値の具合によって特命で依頼がくるかどうか決まるのだ。
以前、デザイナー向けの授業を受けていたとき。デザイナーには4つのレベルがあると聞いた。
- とりあえずの1人…一人では何もできない、とりあえずそこに人がいるから1人だ。研修中のスタッフ、新人はここに当てはまる。
- 一人で作業ができる…1人工としてカウントし、依頼があったものを納品することができる。
- 提案することができる…1人工として働けることはもちろんだが、考えをもって複数の案を提案することができる。
- 幅広い提案ができる…グラフィックデザインならグラフィックデザイン、という枠に囚われず、マーケティングなどの視点で提案することができる。やらないほうがいい、全く違うこちらの案がいい、とクライアントと折衝できる。
つまり、目の前のことを、言われたままやっていたのではレベル2以上になれない。その依頼の目的を自分の中で噛み砕き、知識と経験から最適解を導いてあげる。
そうやって価値をプラスしていく。
素直な人が多いからから、言われたことをそのまま受け取ってしまう人ばかり。それを自分自身がやることで、相手にも自分にも、どんな良いことがあるのか、丁寧に考える必要がある。
価値というのは落ちているわけじゃない。自分自身で作り出していくものだ。
価値を生み出そうとするから、テスト運用をしてみたり、別の面から攻めてみたりできる。
特に自分への価値プレゼンを真剣に考えて、無駄な時間を過ごさないようにしたい。
価値を考えながら取り組んでいると、目の付け所がどんどんシャープになる。価値を生み出せる人にならないと、どんどん落ちこぼれていく未来しか見えない。