スマートに生きよう、スタイリッシュに生きよう
そんなことを思いながら、20代のころはDIMEやLEONを読みながら、身の回りのものを揃えていました。
20代後半のある日。
ちょっとお金に困ったことがあり、アルバイトに出かけました。
地下鉄の広告を張り替えるアルバイトです。
名古屋の地下鉄、藤が丘駅の車両基地にて車内広告を張り替えるんですけどね。
お昼ごはんの時間に、素敵なカッコイイおばちゃんに出会いました。
確か、美濃味匠というお惣菜屋さんでのこと。
イートインスペースがあり、お惣菜を買って食べることができるんです。
適当なごはんスポットがなかったので、そこでお昼ごはんを食べることに。
少し奥のほうに手洗いスペースがあるんですね。
手をかざすと水がでてくる自動水栓と、ペーパータオル。
お食事が終わった例のおばちゃんは、手を洗いに行きました。
僕も何気なくその光景を見ていました。
手を洗い終わったあと、おばちゃんはペーパータオルで手を拭きます。
それで終われば普通のおばちゃんなんですけどね。
そのおばちゃんは、ペーパータオルで周りに飛び散っているであろう水滴を拭くんです。
それも自然に、毎日やっているかのように拭くんですね。
その気遣い、その行動に僕はひどく胸を打たれたわけです。
掃除なんてお客さんがしなくてもいい、お店側ですればいい。
水滴が飛び散っているなら、それもお店の人が掃除すればいい。
当時の僕はそう思っていました。
それが自然で、普通だと思っていました。
が、そのおばちゃんの姿を見て、考えが大きく変わったんですよ。
そのくらいのことであれば、僕がやってもいいのかもしれない。
たった5秒、使ったその場の周りを拭くだけ。
それくらいのこと、オレにもできるぞ。と。
逆に言えば、それくらいのことができなかった。
勝手にラインを引いて、目をそらしていた。
そんな自分が恥ずかしかったですね。
社会にでて、数年働き、一通りのことはできるようになった。
仕事もある程度任せてもらって、自分の範囲でいろいろできるようになった僕が。
水滴を拭くくらいのことができなかった。
広告の張り替えのバイトは1日働いて5,000円でしたけど、そのおばちゃんの光景が見られただけでも満足でした。
カッコいい人は何かが違う。
オーラなのか、行動なのか。
カッコいいと思った人の真似をしてみたい。
少し掃除するくらい簡単にできると思った。
だけど、なかなかできない。
カッコいいスズキになるには、もうちょっと時間がかかりそう。