この時期、どこからともなく漂っている金木犀の香り。
実家の前にも金木犀の木が植えてあった。
その香りに包まれたとき、金木犀の香りは、金木犀の香りだけなのだろうか。
金木犀が香るとき、ちょうどいいくらいの気温になる。肌寒い、季節の変わり目、ぐっと冷え込む。
そんな肌で感じる温度も影響しているんじゃないか。
1年ぶりの記憶や、懐かしい日の思い出や。
ただただ香るだけの存在じゃないと思う。
金木犀の香りは、何を引き出してくれるのだろう。
例えば香水のような、香料のようなもので、同じ金木犀の香りが再現できたとしても。
そのシチュエーションにならないと、深みがでないだろう。
金木犀の香りは、匂いだけじゃなく。五感をフルに感じさせてくれる魅力があるから。
ほんの数日、オレンジ色がぴったりな香りを用意してくれる。
だからこそ、そこに香り以外のものが取り込まれて、金木犀の香りになるんだと思っている。