ある本に教えてもらった言葉がある。
「芸術は悲しみと苦しみから生まれる」
パブロ・ピカソの言葉だという。
この言葉には、とても納得感があって、「わかる、わかる」と大きな声で言いたくなった。
文章を書くときでも同じような印象を受けるからだ。
悲しみや苦しみの逆側を「幸せ」とするならば、幸せなときは文章に向き合えない。細かなこだわりもなくなるし、なんでも許容できてしまう。
締まりのないふわふわしたものが仕上がる。
逆に悲しみや苦しみがあれば、それを背負ったネガティブなパワーや、打ち勝つだけの踏ん張りが力強く活きてくる。
幸せだと外に広がっていくような、悲しみや苦しみではだんだん狭まっていってシャープになっていく印象がある。
だからといって、積極的に悲しく、苦しくなりたいわけじゃないし、幸せでいたいのだけど。心の中にある真っ暗な部分に気持ちよくクローズアップできる機会をもらった気がする。
「芸術だから」は言い訳になるけれど、それでも悲しみや苦しみを肯定できるのであれば。僕はピカソの言葉を信じて、今日も生きていこうと思えるのだけど。
もっと知りたいピカソ 生涯と作品 (アート・ビギナーズ・コレクション)
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