旅行に行ったら「何か美味しいものを食べたの?」と言われることが多い。
海の幸、山の幸、地元の名産品。
それらを目的に旅行する人もいるだろうけれど、僕はあまり興味がない。
ハレの日とケの日があるなら、ケの日の楽しみ方を知りたいから。
先日、1泊2日で旅行に出掛けた。
旅行先で友人氏が待っていてくれたのだけど、わざわざ手厚くおもてなしをして下さることはせずに、友人氏の日常の中に追加してもらったような雰囲気だった。
気心が知れた仲間、頻繁に連絡をとる相手、ということも影響しているだろう。
全国チェーンのファミレスに行ったり、近所のスーパーに寄ったり。
それ一つ一つが、僕にとっては楽しいコンテンツなのだ。
旅先で感じる「ザ・旅行」というものでなくて。
もし僕が、訪れた先に住んでいたとしたら、どんな日常を送っているのだろう。
と感じることも、旅行の楽しみの一つ。
旅先だけでなく、育ってきた環境、暮らしている環境の違いを認識するのも楽しみなのだ。
同じ国に住んでいても、年齢や住んでいる場所が違えば、ライフスタイルはガラリと変わる。
駅前の賑わい、バスの運行本数、コンビニの種類、家賃や駐車場代、方言や文化の違い。
みんながよそ行きのテイストで、ハレの日の対応をして下さる必要はないと思っている。
いつも通り、まるで空気のように扱ってもらえることが、それはそれで楽しいのだ。
他の人からしたら、何それ??と思われることでも、日常の中に潜んでいる違いを感じたくなる。
スーパーに並んでいる牛乳の銘柄。
米原から姫路に向かう新快速の中では、おばあちゃんたちが「いかるがさん、いかるがさん」と言っていた。
オハヨーだったり、チチヤスだったり、白バラだったり。
その地域地域の特色があるものは、スーパーにだってコンビニにだって並んでいる。
日常生活の中にある小さな違いから見えるものを、自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じる。
それが旅先での楽しみだと思っていた。
観光施設を眺めにいくことも楽しいし、情報を分け与えてもらうことも楽しいけれど。
自分で探す楽しみも忘れちゃいけない。
もっと日常目線で旅行を楽しみたい。
おもてなしされない楽しみ方、いつもの日常に仲間入りさせてくれるだけでいいんだけどな。