厳密に言えば、会社でなくて「業界」かもしれない。
同じ業界に長くいると、そこの慣習ややり方を重んじるばかりに思考停止になってしまう。
同じクライアントを長く続けていると、細かなところをごまかしていたり、というような小さな問題を抱えたままになっていることもある。
発注書を出す前に、口頭で依頼をしたり。
困ったときに「まぁなんとかやっておいて」とうまく逃げられたり。
毎回、新規のお客様だと思って行動すれば、上記のようなことは無いのだけれど、なかなかそうもいかない。
そういう弊害があるけれども。
長年続けていることへの信頼もあるのだ。
業界は狭い。
いつごろ、どこで、どんな活躍をしていたか。
分かったりするもの。
同業他社へ転職した仲間もいることだろう。
そうすれば、●●君とは一緒に働いていたんだよ、▲▲さんは前の上司でした。
色んな話ができるようになる。
そうすると、そこに信頼感が生まれる。
「あなたの言っていること、本当ですね」と。
その業界しかしらないようなニッチなネタを持っていれば、相手との距離がグンと近くなる。
そのネタを手に入れるには、長く働く、濃く働くことが大事。
リーマンショックのときの感覚や、ITバブルのときの感覚。
そういう感覚がピタリと合うのは、お互いがその業界にいたから。
「そういえば、Aさんは元気にされてますか」と聞けるかどうかの違いだろう。
そのネタを持っていればいるほど、相手の内側の問題であればあるほど、一気に距離が縮められる。
人間とは面白もので、人情重視で動く人がたくさんいるのだ。
性能、価格じゃない土俵で戦うために。
同じ会社、同じ業界で長く働くのも悪くない。