最近のちょっとしたブームは、「県名当てタイピング」と「県庁所在地当てタイピング」だ。
一種のタイピングゲームで、画面上に表示された日本地図の中から、オレンジ色に光った都道府県名や、その都道府県庁所在地をタイピングする。
つまり、タイピングスピードだけでなく、地図から都道府県名を答えられるだけの知識が必要になるのだ。
小学生のころに苦労して覚えたそれらは、記憶の遠い彼方へ行ってしまった。
北は北海道、南は沖縄、くらいは覚えているが、「47都道府県全てを書き出せ」と言われれば、いささか不安が残るし、それを漢字で書けと言われたら7割くらいしか自信がない。
タイピングゲームなので、漢字で答える必要はない。それにしても、地図上の位置から都道府県を答えるのは難しかったのだ。
何度かチャレンジしているうちに、47都道府県全てをスムーズにタイピングできるようになったのだが、そこで気付いたことがある。
東北~北関東、九州はミスが多かったのだ。
それは、実際に僕が行ったことが無い、行く機会が少なかった場所なのだ。
「生きることは動くこと」を人生のテーマとして、あちこち動き回ってきた。
名古屋に住んでいるので、新幹線のアクセスは抜群。東京や大阪、九州まで新幹線で移動できる。
そうすると、いつの間にか都道府県の並びを覚えているのだ。
名古屋から見ると、岡山の向こうが広島で、広島の向こうは山口。
東を向けば、東西に長い静岡、神奈川、東京。
そうやって自分が行き来したところは、地図を眺めたり、実際に降り立ったりして身近な存在になり、記憶に残りやすい。
東京に遊びに行くことは多かったけど、北関東まではなかなか足が踏み出せなかった。
だから、群馬と栃木の位置関係や、茨城と福島が隣同士だということも気付かなかった。
地図の投影法によって、南北でサイズ感が違うも承知の上だが、都道府県によってこんなに大きさが違うのか、ということも改めて気付いた。
香川県って本当に小さいんだな(全国47番目)、そうやって比べると高知県は大きいな(全国18番目)と気付く。一方で、高知県の人口は45番目だ。
2年前に香川県に行ったが、そんなことはあまり感じなかった。でも、行ったことがある場所だから、という経験のおかげで、より身近に感じることができた。
小学生の頃は、遠い存在だった全国の都道府県。
強制的に覚えさせられたそれを、もう一度振り返ってみるとすごく面白いことに気付く。
でもそれは、自分自身がその土地に足を運んで、リアルに感じてきたからだと思っている。
過去のつまらなかった何かがあるとすれば、それは自分自身に受け止められるだけの器や経験が備わっていなかったのかもしれない。
今になって"おもしろいぞ!"と気付くことがあるんだから。そういえば、こんなことを勉強した気がする、という目次のような勉強をしてきたからなんだろうな。