大切なものは大切にしまっておきたい。
そういえば、こんなツイートを見かけた。
私感想文書くの苦手で、高校の時講演会の感想文をブッチしたら遂に担任から呼び出されて「何故書かん」と言われ「気持ちを外に出したらそれはもう私のものじゃなくなるから嫌だ」と言った。そしたら先生は「そう書きなさい」と。そしてそれに丸をくれた。それから不思議と感想文が怖くなくなった。
— コココミ (@utanokobaco) 2019年11月19日
たぶん、似たような感覚なのかもしれない。大切なものはしまっておきたい。自分の中だけでも、丁寧に綺麗に残しておきたい。
文章を書いていると、書き終わったあとのことを考える。
どれくらいの人に読まれるのだろうか、誰に読まれるのだろうか、どこに載るのだろうか。
商業的に言えば、多くの人の目に触れ、多くの人が感じてくれ、次の行動に繋がったとしたら、それが成功なのだ。
でもそれが、商業的でないなら。自分の中から溢れてくるものだとしたら。
大きな声で言いたいこともある。「このマンガ、めっちゃ面白かった!!」
ほどほどの人に伝えたいこともある。「3丁目のバス停の前にあるケーキ屋さんのフルーツロールが美味しいんだ」
多くの人に伝えたいこと、多すぎると困るのでほどほどの人に伝えたいこと。そうやって声のボリュームを調整しながら文章を書くこともある。
ただそれが、大切でデリケートで壊れやすいものなら。
大切なあの人だけに伝われ。
という気持ちで書くこともある。
もっと大切で、もっとデリケートで、もっと壊れやすいなら。
書くこと自体、憚られる。
その大切な気持ちや空気のような幻想的なそれを、テキストにしてしまった瞬間、壊れてしまうから。
その気持ちは、時間を引っ張ってくることもあれば、音や匂いを連れてくることもある。
往々にして、そこには「大切な人」が一緒に存在している。
大切なものほど、大切な人ほど、言葉を多く語らないほうがいい。蛇足だ。
だとしたら。
大切な人へ、何を伝えられるだろう。大切な人へ、何を伝えたいだろう。
僕は大切な人に何を届けるのだろう。
一人でニヤニヤしながら、ウキウキしながら。
この気持ちは、胸の奥にしまっておこうと思った。
今週のお題「大切な人へ」